2009年3月アーカイブ

2009年3月22日 01:27 PM

他にやることがいろいろあるときに限って、降りてきてくれちゃうステキなアイディアの神様。もうちょっと僕がヒマなときに来てくれても、いいんですよー。なんていうと、気を悪くするかな。降りてきてくれて、ありがとー。せっかくだからここにメモしておきますねー。今回のは、あまりにもよくできてしまって、自分でもちょっとびびっています。アイディアの神様もきっと、このブレンドを嗅いでみたかったんでしょう。

ブレンドの名称 - Name of the Blend - Nom de ce Mélange : Δάφνη - Daphne

ブレンドのタイプ - Category of Fragrance - Catégorie de Parfum : Floral

おすすめシチュエーション - Suitable for - Convient pour : Early Spring - le Début du Printemps

材料 - Ingredients - Ingrédients :

2009年3月22日 06:53 AM

去年の3月末頃だったろうか。ある日の夕方、今住む町のどこからも沈丁花の香りがしてこないことが突然ひどく悲しく思えて、車を走らせ閉まりかけていた苗木屋で沈丁花を3鉢買ってきた。でも帰りの車の中でこそかすかに香っていた花は、春先の川沿いに山から海へと吹きおろす風に横っつらを殴られ、あっという間にみな散ってしまった。あとに残された地味な緑の鉢に、私は何度も水やりを忘れて葉先を黄色くさせては、あわててごめんねごめんねと水を注ぐ、そんな日が夏秋冬とつづいた。

あれから1年弱。3鉢の沈丁花は相変わらずの強風の中でもめげることなく、ベランダのサッシ戸のむこうで今を盛りと手鞠のような花玉をあちらこちらにつけて、がんばって咲いている。この花の風情、この香りを待ち焦がれて300余りの昼と夜を過ごした私なれば、この日のいかに嬉しかろうものを、

2009年3月16日 12:23 PM
昼休み、なのになー。あーあ。

何かを嘆く時間さえなくしてしまえば、
嘆きそれ自身も消えてなくなる、

...わけないですよね。
残り時間がほんとうになくなろうとするとき、
そのすべてを嘆きではなく喜びに充てることができるようになるには多分、
思いのほか不断のトレーニングが必要なのだろうなあ。

たとえば今ひとつだけ、精油の瓶を開けていいとしたら、僕は何を選ぶだろう。
あるいは、ここではない、今ではない遠いところへ今すぐ再び旅立つとして、
ひとつだけ、持っていける永達の花束を選んでよいとしたら、

...それはフリージアだな。間違いなく、それなら後悔しない。
優柔不断の僕がなぜか決然と答えられる、不思儀にも珍しい設問。
白い花は上等の胡椒の香リ、黄色い花はレモンティーキャンディの香り、
だからひとつの花束でも、 白と黄のミックスにしたいんだけど、

それくらいなら許してもらえるかな。



明日(いや、もう今日か)は朝が早いので早く寝なきゃと思いながら、なんとなく寝付かれず。じゃこの時間を利用して追加でクリームベースの材料を融かし合わせておけば明日から新しく練り込み段階に入れるし、そういえば買ったままちゃんと聴いていなかったCDもあったから、そんなのぼんやり流してればいつの間にか寝てるでしょ、なんて思って何気なく再生スイッチを入れたところ、入っていた CD は Antony and The Johnsons の I Am a Bird Now 。... 無理。これで眠るのは無理。

ありがちなことに、私も彼、というか彼女、というか、ともかくこの人の The Crying Light のジャケットを見て呼吸を奪われ、衝動買いした口です。ふつう、そういう衝動買いをすると、んー、やっぱりさー、期待してたほどじゃなかったかもだよねー、だから衝動買いはやめようって前にも思ったじゃーん、みたいになりがちな私なのですが、とにかくこの人のは違う。しかもそれが、予想していた方向に、ほら!ね!これこれ!的なヒットではなく、...え?こっちじゃなくて、そっち方向からですか?みたいな、思いもかけない角度でもって、予期せぬタイミングに無限の暗き淵と永遠のほのかな光明を垣間見せてくれたりするもんだから、もう実に気が抜けないわけです。


最近あんまり音楽を聞いて驚くということのなかった私が、どうしてこの人の作品にそれほどまでの意外性を強く感じるのかなあ。もしかすると、

2009年3月11日 06:25 AM
オハヨウゴザイマース。
私家版 Exodus in 2009 の続きもまだまだ書きたいことがいっぱい残っているのですが、T.T.O.O. [showcase] のトップページを昨晩(3/10)一部更新しましたので、お知らせします。

THE TRIBE OF OLFACTION [showcase]
http://the-tribe-of.olfaction.jp/showcase/

ぱっと見てお分かりの通り、右上にリンクバナーを取り付けたのが外観上の変更点です。
最初のバナーは京都イノダコーヒー本店近くのセレクトショップ teenéi 様。お店の特徴については、この記事 で(きわめて主観的に)紹介させていただいております。現在、T.T.O.O.製のアイテムを実際にお試しいただける世界で唯一のお店、しかも記念すべき第1ロットである初回入荷分は割引料金とのこと!初回分は数に(かなり激しく)限りがありますので、試してみたい方はお早めにどうぞ!
第2ロットは幸いにもご好評をいただいている「元蝋&ラベンダー(ややかため)」と「ローズマリー・エキス&シアバター(ややかため)」を多めに生産できるよう、すでに材料を揃えております。出来上がりましたらまた水タバコをいただきにお届けにあがりたく存じますので、その際はどうぞよろしくお願いしまーす。

2番目と3番目のバナーはこのブログ(新版・旧版)。そして4つめのバナーは、
こちらはホテルのカフェではなく、出張の仕事で訪問した相手方のオフィスでだしてくれた飲み物。エジプトではレモンをしぼって砂糖を加えた「レモンジュース」はけっこうポピュラーな飲み物なのですが、実はエジプトでよくつかわれるレモンは、日本でよく目にするあの形ではなく、カボスやスダチみたいな丸くて小ぶりな格好をしていて(もしかすると日本で一番ちかいのは沖縄のシークワーサー(ヒラミレモン)かも)、それを次々しぼってグラス一杯にするのはかなり大変なんです。でもそうやって絞ることで、果皮にたっぷり含まれているリモネン・リッチなレモンオイルがそこらじゅうに飛び散り、グラスでサーブされた時からもういい香りがぷんぷんしてくるのです。

お味のほうは、
あんまり印象の良くない匂いの話ばっかりじゃ、不公平ですよね。ということで、残る3つは、いい香りの話。

上ナイル沿いの町のホテルに泊まったとき、ここならネットにつながるからと案内された6階のカフェで、なんとなく注文してみたターキッシュ・コーヒー。いま思えばカイロの次はイスタンブールに寄る予定なので、そんなもの本場で注文すりゃいいのに、ってとこなんですが、でも直感で「これ!」と思っちゃったのだから仕方がない。しかも、砂糖いるか?と聞かれて、エジプト流に劇甘にされたら大変だ、とつい no, thank you と答えてしまったのも、いやだってふつうターキッシュ・コーヒーには砂糖いれるでしょ、ちょっと疲れたくらいでこんなに気が回らなくなるなんて、だいたいお前は...、なんて、頭の中で2人の僕が険悪な雰囲気に。あーあ、もう。

ところが!

うむ。どこをどうひねろうにも、まさにそれそのものなので、タイトルのいじりようがありません。とにかくカイロの街中を行きかう車は、(もちろん例外はあるものの)バスやトラックからマイカーに至るまで、よほど愛されながら長年にわたり頑張ってきたのであろう歴戦のツワモノたちが揃っており、もはや日本では見ることの少なくなったクラシカルなブランドや直線的なボディデザイン、またどこをどうしたらそんなにと驚くほど濃厚な排気ガスの煙幕にも、あちこちで出くわしました。

実はカイロに到着した翌朝、

今回はトルコ航空でカイロ入りしたため、カイロ空港についたらどんな匂いがするのだろうと楽しみにしていたのですが、拍子抜けするくらい何の匂いもしませんでした。そのあと、レンタル携帯電話を探すうちに疲れて、もういいや、とタクシーに乗り込んだとき、そのバックミラーにつるされていたのがココナツの匂いのする Air Freshner でした。

車用の芳香剤と言えば、日本でも大麻の葉っぱの形をしたのを車内につるしているお子様方やお嬢様方たちがおられますが、機能としてはあの類いのものです。それも最初は単にこのドライバーさんの趣味なんだろうくらいに思っていたら、そのあと対向車や隣のレーンの車なんかをぼんやり見てると、けっこう多くの車が似たようなのをつるしているのが見えました。

そういえば、前エントリで書いた上エジプトの町で泊まったホテルの部屋も、ドアを開けるなりポワーンとココナツの香りが漂ってきたし。部屋には芳香剤が見当たらなかったので、たぶんルームメイキングの最後にスプレーでもしていったのでしょう。

もちろん、その手のココナツ臭が天然ものであるわけなど、もちろん無く。とてもケミカルでくどい匂いなので、およそ日本にいる時にココナツタイプの芳香剤なんてものを買って嗅ぐこともなかったのですが、そのときふと気付いたのは、

【2009.3.5 一部改訂】

ブログを新ドメインに引っ越しして、ご挨拶をしたその後は、エジプトのナイル河沿いに首都カイロから400km弱ほど遡ったところにある、とある町 أسيوط‎ からお届けいたします。すぐに匂いの話に入りたいのですが、ちょっと我慢して、まずはいくつか自分が忘れないでおきたいと思っていることを、メモがてらに書かせてもらいます。

河口に近いデルタ地帯よりも南側(上流)のナイル河沿いに点在する地方都市群は、古代から「上エジプト」(صعيد مصرSa'id Misr, Upper Egypt)と称され、22の地区(Νομός Nomos, nomes)に分けられてきたとの由。私がいまいる場所は、南端から数えて9番目の地区なので、まあだいたい真中あたりというところでしょうか。恥ずかしながら実はわたくし、アッパー・エジプトだのロウワー・エジプトだの、そういう呼び名はどうせ大英帝国が緯度でもって適当に線引きしたものだろう程度にしか思っていなかったのですが、ずいぶんと長い歴史があったんですね。

それにしてもカイロ北部のアブード・バスターミナルからバスで揺られる(文字通り、しかもかなり激しく)こと6~7時間。こういう旅は車窓からの風景が救いであり楽しみなものですが、途中たまにオアシスめいた町を通り過ぎるほかは、ひたすら砂漠のまっただ中。やがて窓からの日差しも徐々に突き刺さるような強さを帯びてきたのでカーテンを閉めざるを得ず、とうとう外を見るのはあきらめました。車内では、カイロを出て小一時間ほどはスピーカーから実にありがたげなクルアーンの朗誦(でも微妙に再生速度が変化するのでなんだか落ち着かない)が流され、それが終わると今度は

たとえば、匂いのある夢をふつうに見ることのできる、あなた。

たとえば、町をあるいていて、季節最初の匂い(沈丁花でも蚊取り線香でも金木犀でも石油ストーブでも)を不意にかいだ途端に立ち止まったり、どうしてだか思わず泣きそうになったりする、あなた。

たとえば、職場のエレベータに乗ったら、その前に乗った人をだいたい当てられる(けど、その話をするとまわりにいやがられそうだから黙っている)、あなた。


お会いできて、光栄です。
私も、あなたと同じ。ニオイ族です。


このブログでは、偶然にも京都に生まれ育った私が、時に京都から遠く離れた町や国で日常を暮らし、また時には輪をかけて遠かったり案外むしろ近場だったりする出張先や旅先の非日常を手探りで生きる途中途中に、

この鼻先をふと通りすぎた幽かな匂いの記録、またはそこから唐突に喚起されてしまった記憶、

あるいはもう他のどのような方法によっても確かめることのできなくなった遥かな記憶をたぐりよせるために我知らず香りのモトを手にし重ね何度となく混ぜ合わせて見たその試行錯誤の過程(や、ごくたまに辿りついた、世にも稀なる調合)の記録、

などなどを。てきとーうに、つづっていく予定です。


... とはいえ、

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