ナイル川沿いの甘やかな夕暮れ空に、うつくしい月が出た。川の東側に沿って el-Cornish 通りを南に歩くと、左手にライトアップされたエジプト銀行と放送電波塔が見えてくる。

Banque Misr (the Egyptian Bank, left) and
TV&Radio Tower (right) under the Ramadan moon
その少し先、7月26日通りとの交差点で右折してナイル川にかかる10月6日橋を西にわたり、ほどなく見えてくる小路を右に曲がった閑静な屋並みの中に、その店はあった。

entrance of Abou el-Sid,
157 Sharia 26th of July St, Zamalek
このレストラン「アブ・エル・シド」の入口は2mを優に超える大きな扉になっていて、その扉をギイッと開くと登り階段があり、階段を上がったところにはバーカウンターが、その後ろにはラウンジが続いている。私が訪れた時間はちょうど、ラマダンの断食が日没の祈りとともに終わるのを待ちかねて食事をはじめた人たちが、食後のデザートや水タバコを楽しんでいるところだったらしい。水タバコ独特のもったりと濃く甘い匂いのする淡い乳白色の煙と、調理場から漂ってくるガーリックや数々のスパイスの香りが、レースのように細かな明かり窓のランタンから漏れ出した薄暗い光にうっとりと照らし出され混ざり合いながらながら、フロア全体をとっぷりと包んでいた。

bar counter lit by lanterns
近くに各国の大使館や政府系機関があるためか、さまざまな肌の色・髪の色・服装の人々がバーカウンターで、あるいはラウンジの大小のテーブルを囲んで食事や水タバコを楽しみながら、あるいは愉快そうに笑いながら、思い思いにくつろいでいる。その様はまるで、
なんだか遠い昔のアラブのどこか、稀なる水の湧き出る交易都市に、久々に集い互いの無事を喜ぶ人たちを見ているようだった。
この日に注文したメニューは、次の通り。おいしかったですよ。
- マンゴージュース(chunky type)
- ヨーグルトときゅうりのクリームチーズディップ
- モロヘイヤのスープとウサギ肉のグリルのセット
- トマトとオクラの煮込み

[gandha]