カスタードの香りのお香。というと、ビレッジバンガードやドンキホーテあたりでも売ってそうですが、いやいやそうじゃなくて、SYOEIDO の LISN による、カスタードの香りのお香なんです。点火前から見えないプディングがあふれてきそうな香りのスティックに、点火するとしばし焦げたカラメルの香り。やがて濃厚な卵黄とバニラの香りが加わって、たしかにカスタードクリームの香りに。火を消してからも、カラメルとバニラの香りがしばらく残ります。
でも、これ、誰がどんなときに使うんだろう...と、私は余計な事を考えだす。コドモのバースディパーティーにお招きされたお友達を迎える玄関?そんなイノセントでハッピーなシチュエーションには、もちろんさぞかしよく似合うだろうけれども、どうしたことか私の頭の中の妙な所には、 demolition という一語が浮かんだまま、くっついてはがれない。あの楽しかったパーティーから幾千幾万の昼と夜を経て、今ふたたび常ならぬ甘やかで心地よい幻想のいざないへと、今しも現実の戸板を踏みぬかんとする誰かの、青暗く湿った冷たい部屋の空気。おそらくそれはこの香りの補色でできた風景、次元の壁をぬるりと超えてひろがる色相環の、誰の目にも見えない中心の真向かい、この香りの幼く透明な指が、黙って指し示す対極の彼岸。
official description: Custard

[gandha]