Ancient Capitals - Kyoto & Nara, Japanの最近のブログ記事

「神道(しんとう)」と「香り」。この両者の関係は、さていかなるものであったのか? -私の中ではながらくの懸案だったこの問いに関し、どうやら重要な手掛かりになりそうな情報を、この夏いくつか得ることができたので、備忘録がわりに久々の投稿をしておくこととする。

春日若宮おん祭り」(かすがわかみやおんまつり)とは、奈良の春日大社(かすがたいしゃ)で執り行われる行事のひとつである。そのクライマックスとも言える12月17日は、午前0時の「遷幸の儀(せんこうのぎ)」をもって幕を開ける。

春日大社公式ウェブサイトの「春日若宮おん祭り 17日若宮様の1日」によれば、遷幸の儀は「若宮様をお旅所へお遷し申しあげる神秘の行事」とされ、その一切があらゆる光を消した暗闇(「浄闇」)の中で執り行われる。その中で特に私が興味深いと思ったのは、この暗闇の極みのなかで「若宮様」=神霊とともに移動するのが

  • 主にはふたつの「音」、すなわち楽人の奏でる「慶雲楽(きょううんらく)」の調べと、参列者たちが間断なく唱える「『ヲー、ヲー』という警蹕(みさき)の声」、そして
  • ふたつの「香り」、すなわち神霊を取り囲む「サカキ(=榊、ツバキ科サカキ属 Cleyera japonica)の香り」と、香炉から立ちのぼる「香木の香り」、

であるという点だった。果たしてその瞬間に臨場する人々は、視覚と触覚の意味を根こそぎ失わせる漆黒の闇のただ中に置かれ(それが動物的本能により「極めて不安で危機的な状態」として知覚され、他の感覚器官に神経が集中するであろうことは容易に想像されるところである)、いやが上にも研ぎ澄まされた聴覚と嗅覚の働きによって、神霊の遷りを表層的な情報のレベルではなく「肉体的体験」のレベルで共経験することとなるのである。

周知の通り、サカキは現代でも各地の神社で「玉串(たまぐし)」に用いられるなど、重要な役割を果たしてきた植物である。確かに、白木づくり或いは白壁に丹塗りの柱で構成される神道的空間の中、サカキのくっきりとした緑は遠目にも実によく映えて美しいし、凛々しい鋭角のアウトラインは神々の「よりしろ」としていかにもふさわしい。しかし加えて、サカキがチャノキ(=茶の木、ツバキ科ツバキ属 Camellia sinensis)と同じツバキ科に属し、枝や葉を剪ると瑞々しく清浄感にあふれるグリーン調の芳香を放つ植物(注)であるということについては、私の知る限りではあまり言及されているところを見ない。

そして何より、香炉で香木を焚いて薫(くゆ)らせながら歩くという行為が、あの春日大社の「おん祭り」の、しかもひときわ「古式に則った」大切な神事の中に含まれているという事実は、恥ずかしながらそれを知らずにいた私にとって、単なる興味深さを越えた、ある種の衝撃すら感じさせるものであった。

ではなぜ、「古式」の神事には含まれていたとされる香木による薫香、香道でいう所の「空薫き(そらだき)」が、現代にいたる後世の神道的儀礼から抜け落ちることになったのか? -この新たな疑問を抱くようになってから奇しくもわずか数日の後、私は看過できないもう一つの情報を得た。それは「江戸時代、京都で天皇が即位する際には、大きな香炉で煙を立て薫香を行う習慣があった」というものである。しかしこうした習慣の存在がなぜ上の問いを解くことに関係してくるのか、という点については、まずその習慣が実在したことを検証したのちに、改めてここに私見を披歴させていただくこととしたい。

注:サカキと同様に「花をつけていない枝葉の状態で芳香を放つ」もので「現代日本の宗教的儀礼に用いられている」重要な植物としては、仏事に用いられる「シキミ(=樒、シキミ科シキミ属 Illicium anisatum)」 がある。そのほか、京都・六波羅の珍皇寺などでは、お盆の時期に水塔婆に水をかけ供養する際、針葉樹系の樹脂の香りがすがすがしい「コウヤマキ(=高野槇、コウヤマキ科コウヤマキ属 Sciadopitys verticillata)」の針葉つき小枝を水にひたしたものを用いている。これら仏教的伝統と香りのかかわりについては、別ブログ GANDHA にて後日扱うこととする。

今にも一雨きそうな6月の土曜の夕暮れ、午後7時過ぎの丸太町通りをひたすら西へ向かう。嵯峨野あたりに差し掛かると、昼間は観光客で賑わっていたのが嘘のように、ヒトの気配はもうほとんどない。窓の外の空気はさすがに夏日だった昼間よりも格段にひんやりして、飽和限界ぎりぎりまで湿気をふくんだ風が6月の森の匂いとどこかに咲くアカシヤのねっとりした香りにまるで軽く酔ったかのようにふらふらと車内に流れ込んでくる。

2009年3月22日 06:53 AM

去年の3月末頃だったろうか。ある日の夕方、今住む町のどこからも沈丁花の香りがしてこないことが突然ひどく悲しく思えて、車を走らせ閉まりかけていた苗木屋で沈丁花を3鉢買ってきた。でも帰りの車の中でこそかすかに香っていた花は、春先の川沿いに山から海へと吹きおろす風に横っつらを殴られ、あっという間にみな散ってしまった。あとに残された地味な緑の鉢に、私は何度も水やりを忘れて葉先を黄色くさせては、あわててごめんねごめんねと水を注ぐ、そんな日が夏秋冬とつづいた。

あれから1年弱。3鉢の沈丁花は相変わらずの強風の中でもめげることなく、ベランダのサッシ戸のむこうで今を盛りと手鞠のような花玉をあちらこちらにつけて、がんばって咲いている。この花の風情、この香りを待ち焦がれて300余りの昼と夜を過ごした私なれば、この日のいかに嬉しかろうものを、

2009年3月11日 06:25 AM
オハヨウゴザイマース。
私家版 Exodus in 2009 の続きもまだまだ書きたいことがいっぱい残っているのですが、T.T.O.O. [showcase] のトップページを昨晩(3/10)一部更新しましたので、お知らせします。

THE TRIBE OF OLFACTION [showcase]
http://the-tribe-of.olfaction.jp/showcase/

ぱっと見てお分かりの通り、右上にリンクバナーを取り付けたのが外観上の変更点です。
最初のバナーは京都イノダコーヒー本店近くのセレクトショップ teenéi 様。お店の特徴については、この記事 で(きわめて主観的に)紹介させていただいております。現在、T.T.O.O.製のアイテムを実際にお試しいただける世界で唯一のお店、しかも記念すべき第1ロットである初回入荷分は割引料金とのこと!初回分は数に(かなり激しく)限りがありますので、試してみたい方はお早めにどうぞ!
第2ロットは幸いにもご好評をいただいている「元蝋&ラベンダー(ややかため)」と「ローズマリー・エキス&シアバター(ややかため)」を多めに生産できるよう、すでに材料を揃えております。出来上がりましたらまた水タバコをいただきにお届けにあがりたく存じますので、その際はどうぞよろしくお願いしまーす。

2番目と3番目のバナーはこのブログ(新版・旧版)。そして4つめのバナーは、

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